秘密だよ。

これは、ヒミツなの。

だから誰にも言わないで。






02:秘めごと






かさかさ、葉のこすれる音がした。
窓も微かに揺れている。
月明かりが妙に眩しくて、カーテンを引いた。

カチ、 カチ、 カチ、 カチ。

一定に時を刻む秒針が部屋に木霊する。






    眠れない。






眠気さえ、無い。
否、あるのだろう。頭の中は霧がかかっていて、何を考えているのかよく分からなかった。
けれど、心は普段よりも活発で。
冴える。肌がこんなにも敏感になるなんて思わなかった。
それほど、布団のこすれがくすぐったくて、余計に眠れない。



違う。
寝たくない、んだ。



「いつまで…秘密なの?」



空虚に問う。
なぜか、唇から漏れてしまう。
言葉にするつもりなんて、ないのに。



ああ、けれど。
私は弱いから。
口に出さないと、恐くて。壊れてしまいそうで。



ざわめき。
一層風が強くなったようだった。
叫びさえ、掻き消すほどの。



ねぇ。
だからせめて、言わせてよ。
この空間に。アナタの気配さえない、儚い心の中で。
人前では、言えない。
けれど、秘密は体を蝕んでいく。



言いたい。

でも

言わない。



毒されて、眠れないほどの苦しみを

アナタも感じているのでしょうか?






誰にも言わないよ。

二人の秘めごと。

だから、早く来てね。



私が壊れてしまう前に。






secret - - 秘めごと
内緒、だよ?二人の間だけに通じる言葉。