真夏の富士見台オフ ’96夏

 

 7/13〜14にか けて「富士見台オフ’96夏の陣」が開催されました。その山行報告です。

1.富士見台からの展望

 梅雨明け宣言されていませんが、この日も快晴に近い天気でした。お昼過ぎに富士見台に到着した我々でしたが、多くの山を望むことができました。さす がに冬場のようなわけにはいきませんが、南・中央アルプスはほとんど確認できましたし、御嶽や乗鞍岳もわかりました。もちろんやや霞んではいましたが、乗鞍岳の残雪まで肉眼で見られました。 南アルプスも、ちょうど3000m付近から雲の帯がかかっていたのですが、それでも各ピークはわかりました。老夫婦が陳さんに山の名を尋ねたので、陳さんが応えていると、別の3人グループがそれを聞いて、「乗鞍が見えるんだと」とか言ってにわかに騒ぎ出しておりました。思わずFYAMAP根性で解説したくなりましたが、そこは抑 えました。MB画像をプリントアウトしてあったのですが、クルマに置いてき たため、持ってくれば良かったと後悔しました。

2.神坂山

 富士見台は「神坂峠」(みさかとうげ)とセットで語られることが多いのですが、「神坂山」というピークも別にあります。そこへ行ってみようという話 しになったのです。神坂小屋の近くからそのルートが分岐しています。難なくトレールが付いているように見えました。富士見台高原全体は、ほとんどが笹原になっていて、神坂山も例外ではなさそうでした。確かに笹原が続いていましたし、トレールもあったのですが、笹が深いということが遠くからはわかりません。所々には 道の怪しい場所もあったりして、結局、薮漕ぎならぬ「笹漕ぎ」を余儀なくさ れて進んだのです。そうして到着した神坂山は、誰一人いない静かな山でした。こじんまりとし た頂上には大きな石があり、その際立った石には「岩田石」という字が彫られ ています。思ったより木が生えていて、視野はいまひとつでした。そこでコー ヒーを沸かしてしばし休憩。神坂山から少し下ると、宿泊する万岳荘の屋根が近くに見えます。沢沿いに 降りられそうでした。しかし、そこには道らしきものは見当たらず、さらに深 い笹が茂るばかり。我々はそれでも、通れそうな場所を見つけて下ることに成功し、見事、万岳荘にたどりついたのであります。

3.星空の展望

 晩餐の時を迎え、1日目のメンバー4人と1匹が勢揃いしました。野外での 食事は気持ちよく、やや肌寒い気温に温かい味噌煮込みが美味しかったです。 昼間の好天から、この時間になると雲が空を覆い始め、星空の下での晩餐とい うわけにはいきませんでした。いったん小屋へ引き揚げしばらく歓談の後、ふと夜空をのぞいてみました。 するとどうでしょう。星が見えます。下界ではあまり見られない天の川も確認 でき、星の数がぜんぜん違います。我々は外に出て、しばらく見入ってしまいました。せっかくだから稜線へ出ようという話しになり、真っ暗な高原をライトを頼 りに登りました。夜の富士見台は初めてです。稜線にたどりつくと、中津川の 明かりが飛び込んできました。北東方向の空も明るいです。おそらく飯田の街 の明かりでしょう。おかげで期待とは裏腹に、かえって星が見えなくなってし まいました。それでも普段は見られない星空を飽きるほど眺めていました。それにしても 誰も星座の名前を正確に言えないのです。某氏は「あれがオリオン座?」とか 言ってました(私の不正確な記憶では、夏は見えないはず)。なお、数日前の夜にこの付近まで来たゴンパパ氏によれば、そのときの方が もっとすごい星空だったとのことです。

4.いざ「南沢山」へ

 富士見台の北北東方向にあるという「南沢山」。陳さんが初冬に訪れたとの ことだったので、皆で行くことにしました。富士見台の頂上はそのまま通過し て、しばらく下っていきます。「横川山 3km」という看板があったので、 南沢山はもっと近いだろうということでした。冬場に凍った池のあったという「湿原風のところ」。確かに稜線上に数ヶ所 の小さな池がありました。しかも地面が湿っているためか、植生が回りとは異 なります。湿原と呼べないでもありません。そこからまだ下りで、目指すべき山との間には谷があるようです。標高の関 係か笹の背丈が高くなっています。階段状の道を降りていくと、樹木が現れ始 めます。木の橋がいくつか架けられていますが、腐っていたり傾いていたりで ちょっとスリルがありました。やがてこの登山道の最低地点と思われる場所に着きます。そこには沢が流れ 出していました。唯一の水場のようです。ちょうど木陰にもなっており、休憩 にはもってこいでした。案の定、そこからはまた登りが始まりました。目標の山の手前に一度ピークがあります。どうやらこれが「湯舟沢山」のよ うです。そこから少し下り、斜面を斜めに登っていくと、いよいよ目的地であ るピークに到着しました。

 

5.目的地の山頂にて

 「目的を果たせない東海学派」のジンクスが、いよいよ破られる瞬間が来て しまいました。目的地「南沢山」のピークはもはや目前です。その到達を疑う 余地もありません。そしてついに頂上へ着いたのです(^^)ヤッター三角点があり、看板も立っています。「横川山」???  陳さんの話しによるなら、横川山は南沢山のさらに北にあるピークのはず。 いつのまに南沢岳を通過してそんなところまで来てしまったんだ?何だかよく わかりません。そこで陳さんの珍説が登場です。  「南沢山と横川山がいっしょになっている!」

 なるほど、ひとつのピークを別の名で呼ぶことはあります。それとも看板が 間違っているのでしょうか。そこでこの山行中にまったく誤差を生じていない という科学の力、ゴンパパさんの「ハンディGPS」が登場しました。すると どうでしょう、現在位置は南沢山よりも南側にあるピークだというのです!!さあ、珍(陳)説vsGPS。軍配は当然にしてGPSですね。地図上の形 を見ても、GPSの示す地点がぴったりなんです。陳さん苦笑(^。^;) 結局、我々が到達したのは「横川山」で、またしても目的地にはたどり着けないジンクスを継承してしまったのです。山頂でそれぞれの昼食を食べながら、「あれがきっと南沢山だ」と皆で北側 にあるやや低いピークを見て納得し合っていました。そこからまだ1Km程度 の道のり。炎天下の中、もはや誰もそこへ行こうとはしませんでした(^^;

 

6.ユニークな集団

 「南沢山」ではなく「横川山」に到達した我々は、そこからまた来た道を引 き返すことになります。さてこの集団を第三者が見るとどんなでしょう。目立つのは、自転車を担いだ人がいることです。出会う人は興味の眼差しで 見ています。こう配が比較的緩やかで、見通しも路面状態も良い場所が多いの で、担ぎだけでなく乗る時間も得られたようでした。この自転車の人は、何故か「サムライ」というカメラと、ビデオまで持って いました。ホームページの画像の材料にするとか。柴犬を連れた人もいます。いや、犬はほとんどフリーでした。この犬は暑さ を避けるために日陰に居座ったり、笹の中にもぐったりしています。おかげで 飼い主はダニ取りにおおわらわでした(^^;。犬もやっぱり出会う人には人気があって、「なんて名前」とかよく聞かれています。飼い主様は「GPS」なるものを持っています。最初は買い替えるからとい うことで、誰かに売る気があったようですが今回の山行でのあまりの活躍ぶ りに、手放すのが惜しくなったもようです。

 いつものようにデジタルカメラを持った人がいます。富士見台で皆の写真を 撮るときに、近くにいた人がシャッターを押してくださったのですが、珍しい ものに感激されていました。タイマーシャッターにしたとき、いつきれたのか わからないのが、相変わらず笑えます。富士見台まで行ってすぐに引き返した人。彼は確かに軽装でした。もちろん 空身です。でもこの人もデジタルカメラを持っていたのです。ほらミレーさん が通販で購入したのと同じもののようです。昨今のコンパクトカメラよりは大 きいけれど、あとで送っていただいた画像はきれいでした!今回は「トレッキングポール」を持ってきた人もいました。1日目でその有 効性を確かめたものの、2日目のときには少し登ったところで、クルマに忘れ てきたことに気付きました。あわれせっかくの実力発揮の機会を逃しました。 ところがこの人、横川山で自然木の杖を拾い、帰り道に活用しておりました。 疲れた体での登りには、随分威力を発揮したようです。

 という具合に、各自思い思いの装備にて歩いていく様は、なんだか妙です。 でもそういう集団が形成できるのも、FYAMAP東海学派らしくて良いとい う結論なのでした。今回の山オフも無事終えることができました。  いろんなハプニングもありましたが、実に楽しいものでした。またいずれ催 されるものと思いますので、東海学派に限らず、皆さんに参加していただける ことを心待ちにしております。

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<付録:富士見台オフ’96夏 概略図>

 万岳荘◇−−−+ ↑こちらに恵那山が見える
        |
  △−−−−−+◇神坂小屋
 神坂山    |
        +−+        こちらに御嶽・乗鞍岳が見える→
          | 湿原   :
      富士見台△−−□  +=−+
             |  |:沢|
             +−−+  +−△−+
 ←こちらに南アルプスが見える    湯舟沢山|
                       |   南沢山
  こちらに中央アルプスが見える↓   横川山△・・・・△

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(1996.7.15〜20 FYAMAPに掲載)

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