認知症高齢者の自立判定基準
● 目的
  老化による認知症は年をとるにしたがいだんだんと増加しています。物事の一部を忘れる
  「ど忘れ」と、比べると、認知症では体験をしたできごとの全体を忘れる点が違い認知症
  が進行すると、自分の障害を自覚できなくなることもあります。
  こうしたことから、規則正しい生活リズムになるように仕向ける中で、早い段階で身体の
  変異などを見つけ出す観察力と適切な判断力が必要になります。
  そのため早期に認知症の症状を発見し対応する事がたいせつです。


● 認知症の早期診断

   1. 認知症の診断には、問診のほかに簡単な「知能テスト」が行われる

お年はいくつですか  0  1  
今年は何年の何月何日ですか?                年
(年・月・日、曜日が正解でそれぞれ1点ずつ         月
                                    日
                                   曜日
0   1
0   1
0   1
0   1
私たちがいまいるところはどこですか?
(自発的にでれば2点、5秒おいて家ですか? 病院ですか? 
施設ですか? のなかから正しい選択をすれば1点)
0 1 2
これから言う3つの言葉を言ってみてください。あとでまた
聞きますのでよく覚えておいてください。
(以下の系列のいずれか1つで、採用した系列の○印を
つけておく)
1:a)桜 b)猫 c)電車  2:a)梅 b)犬 c)自転車
0  1
0  1
0  1
100から7を順番に引いてください。(100−7は?(93)
それからまた7を引くと?                (86)
と質問する。
最初の答えが不正解の場合、打ち切る)
0  1
0  1
私がこれから言う数字を逆から言ってください。
(6−8−2、(2−8−6)3−5−2−9を逆に言ってもらう、
3桁逆唱に失敗したら、
打ち切る(9−2−5−3))
0  1
0  1
先ほど覚えてもらった言葉をもう一度言ってみてください。
(自発的に回答があれば各2点、もう回答がない場合以下の
ヒントを与え正解であれば1点) a)食物 b)動物 c)乗り物
a):0 1 2
b):0 1 2
c):0 1 2
これから5つの品物を見せます。それを隠しますのでなにが
あったか言ってください。
(時計、 鍵、タバコ、 ペン、 硬貨 など必ず相互に無関係なもの)
0  1  2
3  4  5
知っている野菜の名前を      (     )(     )
できるだけ多く言ってください。   (     )(     )
(答えた野菜の名前を        (     )(     )
右欄に記入する。           (     )(     )
途中で詰まり、約10秒間待っても (     )(     )
でない場合にはそこで打ち切る)  (     )(     )
0〜5=0点、6=1点、7=2点、 (     )(     )
8=3点、9=4点、10=5点    (     )(     )
0  1  2
3  4  5
                                   合計点

21点以上の場合は「正常範囲」、20点以下の場合は「認知症の疑いがある」と判定されます。

2.生理的な物忘れと病的な物忘れ


物忘れには、加齢によって誰にでも起こる「生理的な物忘れ」と「病的な物忘れ」とがあり、
次のような特徴があります。


生理的な物忘れ 病的な物忘れ
物忘れの程度 じっくり考えれば、思い出す 時間をかけても、思い出すことができない
忘れ方 体験や出来事の一部だけを忘れる 体験や出来事を、丸ごとすべて忘れる
症状の進み方 軽度でとどまる どんどん進行する
症状の自覚 自覚があり、対策を立てる 自覚がなく、対策を立てない
社会生活への適応 十分可能 困難、あるいは不可能

3. 認知症老人の日常生活自立度判定基準

ランク 判定基準 見られる症状・行動の例 判定にあたっての
留 意 事 項
何らかの認知症を有するが、
日常生活は家庭内及び社会
的にほば自立している
一人暮らしも可能である
日常生活に支障を来すような
症状・行動や意志疎通の困
難さが多少見られても、誰か
が注意していれば自立できる
一人暮らしは困難な場合
もある
2a 家庭外で上記2の状態が見
られる
たびたび道に迷うとか
買物や事務、金銭管理などが
それまでできたことにミスがめ
だつ等
同上
2b 家庭内でも上記2の状態が
見られる
服薬管理ができない、電話の
応対や訪問者との対応など一
人で留守番ができない等
同上
日常生活に支障を来すような
症状・行動や意志疎通の困
難さが時々見られ、介護を必
要とする
日常生活に支障を来すよ
うな行動や意思疎通の困
難さがランク2より重度と
なり、介護が必要となる状
態である。
「ときどき」とはどのくらい
の頻度をさすかについて
は、症状・行動の種類等
により異なるので一概に
は決められないが一時も
目が離せない状態では
ない
3a 日中を中心として上記3の状
態が見られる
着替、食事、排泄、排尿が上
手にできない・時間がかかる
やたらに物を口に入れる、物
を口に入れる、物を拾い集める
、徘徊、失禁、大声、奇声、を
あげる、火の不始末、不潔行為
、性的異常行為等
同上
3b 夜間を中心として上記3の状
態が見られる
同上 同上
日常生活に支障を来すような
症状・行動や意志疎通の困
難さが頻繁に見られ、常に介
護を必要とする
同上 常に目を離すことができ
ない状態である
症状・行動はランク3と同
じであるが、頻度の違い
により区分される
著しい精神症状や問題行動
あるいは重篤な身体疾患が
見られ、専門医を必要とする
せん妄、妄想、興奮、自傷・
他害等の精神症状や精神症状
に起因する問題行動が継続する
状態等
ランク1〜4と判定されて
いた高齢者が、精神病院
や認知症専門棟を有する
老人保健施設等での治
療が必要となったり、重篤
な身体疾患が見られ老人
病院等での治療が必要と
なった状態である

メール アイコン
メール
トップ アイコン
トップ