笑いたければ笑いなさい

泣きたければ泣きなさい

感じるまま、現せればいい

理屈なんて必要ないから












あの時の空の下で












「俺にどうしろっていうんだ……この状態は」
目の前の情景にため息を付かずにはいられない。 どれもこれも原因はあの一本のメールからだった………






空は晴れわったっていて、文句も付けられないほど澄んでいた。
横のグランドでは部活なのか、大勢の生徒でにぎわっている。 しかし、只今の気温35度。これは、クーラーがガンガンにきいている図書室の机に寝そべっている南にとって絶えきれないものだ。
皆が外に出て一生懸命やっているのに不謹慎な……と、雅美に睨まれたが、そんなことはこの際どうでも良かった。
夏に生まれた者は暑さに強いと言うが、それはデマだろうと深く感じてしまうほど南は苦手なのだから。
寝返りをうち、仰向けになりながら何の意味もなく天井を見つめる。
「何でみなさんあんなに活発なんでしょうねぇ…」
呆れなのか、尊敬なのか、どちらともいえない口調でぼやく。
ボーっとしているとクラスの人やらに目線が合い、苦笑いを浮かべながら虚ろな手つきで見送る。そんな行動がさっきから繰り返し行われていた。
いい加減飽きてきたところなのだが、かといってこの部屋から出ることなどできない。もう今日はこの部屋で一泊することに決めたのだ。
「…遊ぶ物持ってこれば良かった」
流石にいくら沢山あるとしても本だけでは過ごしていけない。 だが、悩んだとこで何か出てくるわけでもないのだ。
フム、と一言 つぶやくと体を起こし、鞄から携帯電話を取り出しある人物へメールを送った。
そしてまた机に身を委ね、
「来るまで少し寝てよっか」
と一人で勝手に決め、瞼を閉じた。






この物体をどうすれば良いんだか……
悩むに悩めきれず困り果てた深久は、降参と言うかのように南と同じく机に寝そべった。 遙か遠くまで続く空を見つめる。
「皮肉なものだな…」
いくら下で何が起こっていようと、相変わらずの表情を広げている世界に向かって、深久は深々と横の南を見据えた。









『あの日もこんな空だったような………』