ここはどこだろうか?



真っ白な場所。



こんな世界があったなんて知らなかった。



だって私は    









ヒュッと空気を切る音がした。
何かがその男の喉をかすめたのだ。
本人はその事にすら気が付いていないように、足を前に出そうとした。が、
ゴト。
床に丸い物体が落ち、残りは膝を折ってその場に崩れる。
転がって赤い道を作っていくその表情は笑っていたけれども。
突っ伏した体の切り口からは、まだピシャピシャ血を吹き出していた。



「死んだの?」



クスクス、笑う声がした。
気が付けば後ろに、自分より小さめの女の子が二人、楽しそうにしている。
彼女らは少女に近づいていき、足下に転がっている頭を足で突きはじめた。
新しい玩具を手に入れたように、嬉しそうな笑みを浮かべて。



「殺したの?」



クスクス、目を細めて笑う。
綺麗な、ソレが唯一の楽しみであるかのように笑う少女たちは幼げで、本当に美しかった。
ぼーっと、二人を見ながら彼女は思う。



「姉サマ?どうしたんです?」



「姉様?もう帰りまショ。コノ人死んだんだから」






ああ、どうして自分を姉と呼ぶのだろうか。
分からない。
分からない。

けれど。

死んだのは事実で。

殺したのは自分で。






真っ赤な世界の中に自分は確かにいたんだ。






「「来夢姉様?」」






  行こう」









汚れたこの手でも握り替えしてくれる人がいるのなら。
それだけでもまだ大丈夫だと思えるから。



だから。



私の世界を紅く染めて    












そう願って、手を伸ばしたのに。












「ココ、は……?」



瞳に映ったのは、何も見えないぐらい、真っ白な世界。