1/200  イ400 の製作

開戦直後の昭和17年 パナマ運河を攻撃する目的で 建造された 「晴嵐」特殊爆撃機を3機搭載       当時世界最大の潜水艦でした

潜水艦の製作は始めてです イ400は実写真がたくさんあるので 模型作りには ありがたいのですが逆に手を抜けません  側面に並ぶ排水口の 孔あけ
には苦労しましたすが 今回は専用のカッターを作って製作しました              伊ー58   伊ー182   呂ー35   波ー201 

 

ホームセンターで 朴の板を探したのですが 田舎ではなかなか手に入らず やむを得ず 「姫小松」材を使いました 姫小松は仏像彫刻などに使われますが艦船模型にはあまり使われません

図面は タミヤの1/350 イ400の箱絵にあった図面をパソコンで1/200に直してコピーして原図としました

左下に 断面ゲージが見えます が 資料が見当たらなかったため 他の潜水艦の断面を参考にして推定で製作したものです 

8mm厚の「姫小松」材を重ねて船体の形状に合わせます 8枚ほど張り合わせることになりました

姫小松材はやわらかですが 逆目があったりして 作業性は良くありません  一般に市販されている「アガチス材」の方が まだ加工性がいい

模型製作用の木材は 「朴材」を使うのが もっとも工作しやすいと思う

削り出しを終了し いったん分解したところ

軽量化と 後々の狂いを防ぐため 中空にしたほう がいいと思うが 今回はこのまま張り合わせた


接着剤は 「木工用セメダイン 速乾」

接着剤が乾くまで クランプを使って固定する        端材を使って「船台」を作った

船腹に 木ねじ が見えますが 固定のための仮締めで 乾燥後はもちろん抜きます 

船首にカタパルトの 軌条 を取り付け 

中央部の「格納庫」は 木の丸棒で製作します 

甲板に格納庫の 前部水密扉の収まる 「へこみ」 を掘り込みました

水密扉は 「開」として作りたいところですが 格納庫内部の加工の難しさを考えて「閉」の状態としました

「晴嵐」をカタパルトに乗せてみました  上に見えるのは 参考にした タミヤ 1/350 イ400のプラモ

水密格納庫の上部に図面をコピーした紙を貼りつけそのまま加工する 寸法が正確に出せる (イメージを見るため 塩ビパイプで仮作り) 

「晴嵐」も同じ方法で製作しました

後方は 1/200 「矢矧」

潜水艦の「甲板」は空母に比べて隙間が大きいので 1mm角材は0.2mmのプラスチック板をはさんで接着し乾燥後抜き取るという方法で間隔を作った 
参考作品  赤城  隼鷹  瑞鶴 

大まかな構造物が完成 


原子力潜水艦を除く 当時の潜水艦は 水上走行にジーゼル機関、水中走行時は 電気モーターを使った 電池は鉛蓄電池で潜水高速走行時では 1時間持たないという (学研 ムック) 

すのこ甲板       潜水艦の見せ場  1mm角の桧角材を0.2mmの空間を空けて接着した
 
空母ならそのまま接着するのだが 潜水艦は手間がかかる


前甲板の「すべり止めの横桟」は 紙テープを予め塗装しておき 約0.8mm幅に切り クリアーで剥れ止めをした(リノリュウム止めと同じような作り方)  実艦の写真を見るとかなり細かい間隔で作られている

排水口は潜水艦の模型で一番手間のかかる部分で 一番目立つ部分でもある

厚手の紙(カレンダーを使った)に「エクセル」で 四角を連続して印字した 物差しを使って製図するより簡単で正確 

排水口 を切り抜くため 専用の「ノミ」を製作した   ピンバイスに くわえているのは短辺を切りぬくために 糸鋸の刃を加工した1mm幅のノミ

長辺を切りぬく2mm幅のノミは細い「やすり」の先端をグラインダーで削って作った

船腹に接着し サフェーサーを吹いたところ

水密扉は閉めた状態とした 写真では分かりにくいが ハンドルも再現した

司令塔後方にある排水穴は 電子レンジの扉内部のシールド用に使われているパンチングメタルを使った

写真では見にくいが 舷外電路は0.2mmほどの銅線(ビニールコードの芯線)を3本並べて帯状にしたものを 2本並べて接着した

艦橋の潜望鏡 や短波用無線マスト は浮上中は下ろしているのが普通だが あえて伸ばした状態にした 

写真では見にくいが13号電探の 3エレメントアンテナのスタックも再現した


無線マストの先端には放射状に「信号桁」がある  
「接着」で作っても良いが 引っ張る力がかかるため  100μF ほどのコンデンサを充電しておいてショートさせる 「溶接」で作った (簡単ではなかったデス!

普通なら「カッターナイフ」で作業しようと考えるが 専用工具を作って作業するほうがキレイで正確に作れる  

まさに「急がばまわれ」の諺どうり

08−9−13 製作開始        08−12−8 完成

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長波用ケージアンテナ と 信号旗索 を工作した 
2列になった舷外電路も正確に作りました

潜水時は 円筒型超長波水中受信アンテナ(17KC)で受信した (国内基地局は刈谷の依佐見送信所 受信は30kmほど 離れた別の場所) 

赤道近くの海域で15m位の深度でも受信(送信は浮上したと思われる)できた という   

イ182 と並べてみた  イ400は 2隻分の大きさがあることが判る    

写真をクリックすると拡大します

「晴嵐」を塗装   資料によって 翼の 日の丸に 白枠のあるものと 無いものがある

ウルシー環礁攻撃時の 晴嵐には アメリカ軍のマークが 書かれた という リサーチがある

翼のオレンジ色の 味方認識マーク の塗装が 無かったというリサーチがある

エンジンは アッタ32型液冷倒立V型12気筒 (ダイムラーベンツDB601 の国産型)
晴嵐 は 名古屋の愛知航空機(現 愛知機械kk) で製作された
(エンジン名 の アッタ は 熱田神宮の名) 

実艦は1750t の燃料(重油)を積み 航続距離は37500海里(約70000km)  地球を1.7周できた 

単純に計算すると(1t→1000L 1海里→1.852km) 
燃費は 1Lで約40m !!
 

艦橋後部の U字を逆さにしたような部分は 「シュノーケル」 
この目的は 潜行中でも 電池の充電用発電機を運転するための給排気口 

潜水艦は 水上走行時はジーゼル機関 水中走行時は電池で電動機(モーター)を回して走行した 

艦橋から出ている 潜望鏡は 洋上索敵・雷撃照準用 と 天測・対空監視用の 2種類がある  水上走行中は 引き下げられていた

艦上のカタパルトは 圧縮空気で作動し 従来の火薬式と同等の 性能であったという

射出機の全長は26m 飛行機収納用に3.5tの起倒式クレーンを備えていた
最大射出速度は34m/秒 (時速122kmに達する)


格納筒内では 晴嵐の 潤滑油をあらかじめ温めており 暖機運転をせず 急速発進ができた(当時のエンジンは 通常15分位の暖機運転を必要とした)